中絶と病気。病気が原因で中絶。胎児の病気を理由に中絶。中絶手術による病気。

中絶は、できればしたくないものです。しかし、自分自身に病気がある場合や胎児に異常がある場合には不安になってしまうもの。妊娠をする前に、中絶と病気の関係についてみていきましょう。

中絶手術をしなければならない病気ってある?

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一昔前であれば、重い病気を持った人が妊娠及び出産をするのは難しいといわれていました。しかし著しく医学が進歩したおかげで、現在では病気がある人でも出産が可能になっています。そのため、病気が原因で中絶手術をしなければいけない状況はあまり多くはありません。

とはいえ、病気がある人の場合は妊娠、出産にあたっての注意点も多くなります。出産にあたっての注意点を、病気ごとに確認していきましょう。

糖尿病

糖尿病の人が妊娠した場合、赤ちゃんに様々な問題が起こるリスクがあります。可能性が高いのは、形態以上、巨大児、低血糖症などです。また、お腹の中の胎児が急に死んでしまうこともありえます。これらのリスクを最低限に抑えるためには、食事療法なのでしっかりと血糖コントロールを行うことが大切です。

気管支喘息

気管支喘息を持病として持つ人が妊娠することは、決して稀ではありません。しかし、そのうちの20%の女性が妊娠中に重大な発作を起こしているので注意が必要です。

妊娠前に喘息がコントロールできていれば理想ですが、そう簡単ではありません。喘息がコントロールできる前に妊娠した場合には、きちんと服薬して発作を抑えましょう。妊娠中の薬の服用は避けたいところですが、喘息発作の方がはるかにリスクが高いので、喘息のコントロールを優先しましょう。

血液の病気

特に、出血しやすい血液の病気の場合には気をつけなければなりません。出産をするときには必ず出血を伴うため、重症の場合は死に至る可能性があります。また、血液の病気が胎児に影響する場合もあります。

心臓の病気

心疾患を持つ妊婦は、全体の1%ほどだといわれています。心疾患があると血液がうまく全身を循環しないため、流産や早産の原因となる場合があります。

また、妊娠をすると心臓にも負荷がかかるため、母体のリスクも否めません。特に胎児が大きくなってくる妊娠8ヶ月目〜10ヶ月目頃は要注意で、最悪の場合には死に至ります。

医師との相談が不可欠

前に述べたように、現在では重い病気があっても元気な赤ちゃんを産んでいる人がたくさんいます。しかし、大丈夫だろうと高を括って妊娠することはおすすめできません。

妊娠した後で出産が難しいとわかって中絶するのは、女性にとっても赤ちゃんにとっても悲劇です。また、心臓病がある場合には中絶手術に耐えられない可能性もあります。慢性病がある場合には妊娠してよいかを医師に相談し、中絶や母体リスクをできる限り避けるようにしましょう。

胎児が病気や障害を持っていることを理由に中絶はできる?

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赤ちゃんに元気に生まれてきてほしいというのは、母親なら誰もが思うことです。そして、現在では赤ちゃんが生まれてくる前にそれをチェックすることができます。それが、「新型出生前診断」です。

新型出生前診断では、母親から血液を採取し、胎児に染色体異常がないかどうかを調べることができます。従来から行われている羊水検査や絨毛検査と違って流産の可能性を高めるリスクがなく、画期的な方法だといえます。

診断の精度も高く、胎児の先天性異常を予見できる確率は80%〜90%です。新型出生前診断は、10組に1組ほどのカップルが受けているといわれています。

胎児の健康状態を知るためには非常に有用な新型出生前診断ですが、欠点もあります。それは、倫理的な問題です。胎児に先天性異常があるとわかった瞬間に、出産意欲を失ってしまう女性も少なくありません。

これは非常にデリケートな問題で、生みたくないという気持ち自体を否定することはできません。しかし、胎児が病気や障害を持っていることを理由に中絶することはそもそも可能なのでしょうか。

中絶ができる条件は、母体保護法で定められています。この条件に当てはまらないにもかかわらず中絶してしまうのは堕胎罪といい、違法になってしまいます。また、医師も法律違反だと判断した場合には中絶手術を拒否しなければなりません。

中絶が認められているのは、レイプなどの性犯罪によって妊娠した場合、また身体的及び経済的理由により出産が難しい場合です。実際にはほとんどの場合で経済的理由が認められてしまうため、日本での中絶は望めば行える自由なものとなっています。

中絶手術をすることによるかかる病気、かかりやすい病気ってある?

中絶手術は、決して難しいものではなく、安全性も高いといわれています。そのため、中絶手術が原因で病気にかかったケースはあまり多くはありません。

しかし、場合によっては健康被害を被る場合があります。例えば、手術で胎児を掻き出す際に子宮に傷がついた場合になどです。このことが原因で、不妊症や子宮外妊娠を引き起こしてしまうことがあります。

また、妊娠13週目以降になると中期中絶と呼ばれ、中絶手術が母体に与える負担も大きくなります。中期中絶では人工的に陣痛を起こす方法が一般的ですが、この時に子宮収縮剤の影響で子宮破裂を起こすリスクがあります。

とはいえ、中絶手術で体に影響が出るのは稀なため、そこまで神経質になる必要はありません。それ以上に無視できないのが、心への影響です。

中絶したことで大きなストレスを長期間抱える女性は少なくありません。また、パートナーとの意識の違いが原因で男性不信になってしまう女性もいます。これらの精神的影響は、女性の今後の人生にも大きく影響を与えかねません。自分だけで抱え込まずに、周りの人の理解を得ながらストレスと向き合っていきましょう。