初期妊娠中絶の実際!中期中絶とどう違うの?

妊娠中絶ってどんな方法で行われるかご存知でしょうか?思わぬ妊娠で頼らざるを得ない妊娠中絶は母体保護法という法律に基づいて行われる手術で、初期妊娠中絶と中期妊娠中絶という2種類の方法が行われています。妊娠中絶のやり方や実際というのは多くの方にとってよく分からないことかもしれません。しっかりとした知識を身につけましょう。

妊娠中絶には3種類ある

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初期中絶

妊娠中絶のうち、妊娠11週程度までの妊娠中絶は初期中絶という方法で行われます。妊娠初期中絶では子宮の内部の胎児や胎盤をキュレットという道具や吸引機で吸い出すことで中絶が可能で、母体の負担が非常に少ない中絶のやり方だと言われています。

中期中絶

妊娠中期中絶は妊娠12週から21週目までの間を目安に行われている中絶方法で、形式的には分娩に近いやり方で行われます。子宮の入り口の子宮頸管の部分を柔らかくし、広げてから胎児を体外に娩出します。この時にはお薬の力で子宮を収縮させて子宮内の胎児を体外に出します。

後期中絶

妊娠後期中絶は妊娠22週以降の中絶でこの中絶は日本では禁止されています。妊娠後期中絶は海外で行われている場合もあるのですが、妊娠22週目以降の胎児は母体外で生存するだけの生命力があるので、日本では違法な治療法です。

初期中絶の流れ◆

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診察

診察の主体は内診です。子宮の内部や膣などに異常がないかどうか確認し、治療が可能であれば妊娠中絶手術を行います。

この時に問診を行い、手術の同意書を作成する必要があります。

検査

検査は内診の時に合わせて行われます。内診の時に超音波を使って子宮内を検査し、子宮の角度や子宮内部の状態の観察をします。このほかには血液検査を行い、出血のしやすさや感染へのリスクなどを考えることが一般的です。

術前の前処置

術前の処置は手術の前日に行われます。手術を行う前にラミナリアという海藻の茎でできた細い綿棒の様な棒を子宮の入り口に入れ、ゆっくりと子宮の入り口を広げていきます。この時緊張が原因で痛みを感じる人もいますが、深呼吸をしたり力を抜いておくと痛みを感じずに処置を受けることができます。

麻酔

中絶手術の麻酔は通常であれば点滴の麻酔とガスの麻酔を併用して行います。点滴の麻酔では気持ちを落ち着けて、うとうとした様な状態を作り出す薬を使い、ガスの麻酔薬で痛みのコントロールを行います。このような方法は静脈内鎮静法という方法で、日帰りで手術を受けたり、短時間の手術を受ける時に一般的に行われる方法で、ほとんど痛みを感じずに治療を終えることができます。

体の状態が悪い場合や全身状態が悪化している場合にはより厳密な安全管理のもとで手術を行うので、麻酔の専門医が同席し、より専門的な麻酔を行う場合があるので術前に医師とよく相談しながら治療を行います。

子宮内容掻爬術

麻酔をかけたのちには子宮内の胎児や胎盤を摘出する手術を行います。ラミナリアで広げた子宮の入り口を安全に治療を行えるようにさらに徐々に広げていき、子宮内部の胎児や胎盤を摘出していきます。この時に子宮の内部をキュレットという匙のような道具でこすり取ることで胎盤の取り残しを防いだり、吸引機を使って子宮の内部の血液や組織を摘出します。

このような治療は子宮内容掻爬術と言って、世界的に広く行われている一般的な治療の方法だと言われています。

麻酔後の回復

中絶手術を終えた後には麻酔からの回復を待ちます。麻酔から回復する時には吐き気やめまいを催すことがあるので、術後にゆっくり時間をかけて回復の時間を取ることが一般的です。

麻酔から回復した後には術後の検査を行います。術後の検査で子宮の状態や全身の状態を観察し、異常がなければそのまま帰宅することができます。

妊娠初期中絶を終えた後は

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術後の診察

術後1週間ほど経ってから最後の検診を行い、治療を終えることが一般的です。術後の検診で感染症や子宮内に異物の残留が確認できた場合には再度治療を行うことがありますが、ほとんどの場合は問題なく治療を終え元の生活を送ることができます。

初期中絶はほとんどの場合後遺症を伴う心配は要りません。現在では非常に安全な環境で治療を行うことができるので、かつてのように不妊の原因になったり、その後大量出血から死に至るケースは少なくなってきました。しかし、現代の医療でもごく稀にですがトラブルが起こることがあります。妊娠中絶手術後にトラブルが起こったり、思わぬ体調不良が起こった場合には必ず医師に相談することが大切です。

独断で判断をせず、必ず医師に相談するように心がけてください。